暮らしの中にオリーブを。

オリーブの花粉と実の話

2017.07.07

 

オリーブの花が初夏に咲いた後、可愛らしい実がつき、夏の間に少しずつ膨らんで大きくなっていきます。時々「オリーブの樹には雌雄があるんで2本植えないと実がつかないのですよね?」と質問をいただくのですが、樹に雌雄はないのです。
では、2本植えるべき本当の理由は何故かを探っていきましょう。

 

そもそもオリーブは植物の分類では何になるの?
植物は種で増えるものと花が咲かず胞子など種以外で増えるものとに分かれます。
種になる部分の「胚珠」がむき出しになっているものと、オリーブのように子房ができるものとに別れ、さらに子葉は2枚ものと1枚のものに分かれます。
また、花びらの形態によって花弁がすべて合体した「合弁花」と花びらが1枚1枚分かれた「離弁花」に分かれます。オリーブは種子植物・被子植物・双子葉類・合弁花で、アサガオなどと同じです。

 

園だより オリーブの花粉と実の話_08
花粉がついて、種ができる過程は?
おしべの花粉がめしべの柱頭につくことを受粉と言います。受粉をすると花粉が発芽して、花粉管を形成し、胚珠にむかってのびていきます。
胚珠の中には単細胞と中央細胞があり、花粉管の中には精細胞が2個あります。1つの精細胞と卵細胞が合体する生殖受精をし、受精卵となり胚となります。
また、同時にもう一つの精細胞が胚のうにある中央細胞と合体する栄養受精をし、胚乳となります。
このように一度に重なって受精することを「重複受精」と言います。そして胚珠は種に、子房が果実になります。

 

オリーブは他家受粉
花粉がついて、実になっていく過程がわかりましたが、問題はこの受粉にあります。
同じ花の花粉が柱頭について受粉をすることは簡単ですが、遺伝子の組み合わせの多様性が低下して生物的にはデメリットとなってしまいます。ほかの花粉で受粉をするのは近くに他の樹がないといけないのですが、遺伝子の拡散や種としての適応度を大きくすることが可能になります。一年草のように生育期間が短いものは自家受粉に頼る物が多く、帰化植物も最初は自家受粉をして繁殖しますが、樹木は他家受粉をするものが多いと言われています。
オリーブは樹齢が長い樹です。特に自家受粉を避ける方が生物的メリットがあります。そのため自家不和合性が強く、同じ花の花粉が柱頭についても花粉の発芽や花粉管の伸長、受精が生理的に妨げれられていると考えられています。「1本しか植えていないと実がつきにくい」のはそういうことなのです。ただしこの生理的な現象は絶対的なものではなく、オリーブでも自家受粉することもあります。


真夏のオリーブ樹のお手入れ
乾燥した土地や気候に向いているといわれるオリーブですが、秋の実りをよくするためには真夏に水を絶やさないことも大事です。
丸々と実太りした果実の収穫をお考えの方はこまめに水遣りをしましょう。

日本オリーブ株式会社/牛窓オリーブ園公式オンラインショップはこちら
会員登録で初めての購入から使える 500ポイントプレゼント●会員登録はこちら●

SNSをフォローして最新情報をゲット!

Facebook
Instagram
Twitter
YouTube

人気のある記事

“オリーブの花粉と実の話” への12件のフィードバック

  1. まま より:

    こんにちは。
    はじめまして。
    もし、お時間がありましたら教えていただきたいのです。
    我が家には植えてから数年になるオリーブの木があります。先日、地植えから鉢」に鉢上げをし、何とか根付いてくれたようです。

    実はこのオリーブ、今まで1度も花が咲いたことがありません。当然実をつけたこともなく、できれば実をつけて欲しいのですが、タグもなく、どの種類かもよくわかりません。どうしたら、実をならせてくれるでしょうか?
    現在、高さは1メーター50センチ位あります。

    もし、他の種類のオリーブを一緒に植えるとしたら、どんなものが良いでしょうか?お忙しいところ申し訳ありません。もしお時間がありましたら、ご回答いただけますとありがたいです。

    • kinoshita より:

      コメントありがとうございます。
      オリーブの花が1度も咲いたことがないとのことですが、下記のような場合、花が咲かないことがあります。

      ・植え付けから数年の幼木で、生長が盛んで開花が始まっていない場合。
      ・過度な剪定により前年に伸長した枝(花芽がつく場所)が切除された場合。
      ・1月の平均気温が10℃以下にならない地域・環境で花芽ができない場合。

      また、オリーブの実をならせるためには、品種の違うオリーブの花同士の受粉が効果的です。
      ご自宅のオリーブ品種が不明のようですので、もし、他のオリーブを植えられるなら、一本はネバディロブランコ(花粉量が多い)と、もう一本はお好みの品種の2品種を植えてみてはいかがでしょうか?

      参考までに・・・
      アルベキナはオリーブの果実が小さくかわいらしいので、女性に人気です。
      マンザニロやミッションは、果実を浅漬けにすると美味しく、漬物にしたい方にお勧めです。
      セントキャサリンは、葉が白っぽく(白銀)、実がならなくても、葉だけでもとても美しいです。

      秋にオリーブに実がなるのが楽しみですね。

  2. 佐藤美幸 より:

    始めてコメントさせて頂きます。
    先日始めて鉢植えのオリーブを購入致しました。
    品種はミッションです。
    自宅の南側のフェンスの前に鉢植えを置いたのですが、自宅の南側には三階建ての建物が建っております。なので、全く陽射しが無い訳ではありませんが、午前中10時頃には日陰になって仕舞います。置き場所を替えた方が良いでしょうか❓
    よろしくお願いいたします。

    • kinoshita より:

      ご質問ありがとうございます。
      オリーブの健全な生育には少なくとも半日ほど日差しが欲しいと考えます。
      そのため、午前10時に日差しがなくなってしまうのは少し早いように思います。
      日当たりがよくないと、枝がやせたり、成長が遅くなったりと影響が出てきます。
      置き場所を変更できるようならば、半日以上、日が当たる場所への移動をお勧めします。

  3. オリーブラブ より:

    ネットで調べているのですが、教えて下さい。
    2020/10/末に、シンボルツリーとしてアルベギナを植木屋さんが鉢植えしてくれたのを迎えました。嬉しい予想外で、最初から実がついていて、黄緑から深い紫色に変化しています。実は摘んだ方が良いのでしょうか?実をつけたままの木を放置しても大丈夫でしょうか?初歩的な事が解らない・・・。

    • 吉田知絵 より:

      ご質問ありがとうございます。

      オリーブの実についてでございますが、
      観賞目的なら、実がきれいであればそのままで、
      やがて表面がしわになってきたらすべて摘みとってください。

      樹の成長を少しでも早くしたいときは、すぐに全部摘み取ることを
      おすすめいたします。

  4. オリーブラブ より:

    有難うございます。

  5. より:

    鉢植えで5年経過したオリーブに花が咲き、6月頃から10個くらい実がなり始めました。約1か月経って、オリーブの実らしい大きさ(2㎝位)になりました。
     でも よく見ると、花が咲いたあとに小さな実のようなものがたくさんついています。調べたところ、実が大きくなるのは9月頃とか。
    オリーブの実は年に2回なることもあるのでしょうか。
    ちなみにオリーブの木をもう1本そばに置いていますが、そちらは花を咲かせたことがありません。葉の形も小さく品種が違うようです。

    • 吉田知絵 より:

      ご質問ありがとうございます。

      オリーブは年1回だけ実をつけます。
      2回というのは私どもは聞いたことがございません。

      おそらく、受粉はできて実はつきましたが、
      今の時期(果実肥大期)に、果実肥大しなかったものと推測します。

      小さい果実なので、最初にご覧になられた時には見えず、
      後日、じっくりと見られた時に発見されたのではないかと思います。

      このまま生長しなければ、肥大しなかった果実であり、
      オリーブではしばしばみられる現象です。

      オリーブについて、何か心配なことがございましたら、
      お写真をいただければ、もう少し詳しくお応えができるかと存じますので、
      下記メールアドレスまでご連絡くださいませ。

      Email:nipponolive-webshop@nippon-olive.co.jp

  6. より:

    早速のご回答ありがとうございます。
    別のメールで写真を送信しました。
    よろしくお願いします。

  7. h.r より:

    我が家に1本だけオリーブの鉢植えがあります。
    品種はレッチーノです。
    近所にはオリーブの木が見当たらないのですが、毎年10個程度実をつけます。
    これはやはり他の木と受粉しているのでしょうか?
    それとも、この木の中でまぐれで受粉が起こることがあるのでしょうか?

    • 吉田知絵 より:

      ご質問ありがとうございます。

      オリーブは1種類の品種だけでは結実しにくい植物です。
      品種によっては、1本でも実を付けることが稀にあるのですが、
      (アルベキナ種・ルッカ種など)
      「レッチーノ種」は自家受粉しにくい品種ですので、
      他の木と受粉しているのではないかと考えられます。

      オリーブの花粉は、1.5km飛散したという試験結果もございますので、
      少し離れたところに、オリーブの木があるのかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

瀬戸内のエーゲ海、牛窓オリーブ園へ

瀬戸内の美しい島々を見渡す丘にある「牛窓オリーブ園」がわたしたちの活動拠点です。約2,000本のオリーブが茂る園内にはハーブ園や幸福の鐘の丘などがあり、家族でくつろげる観光スポットとしても知られています。山頂にあるショップには当店で販売されている化粧品、食品、オリーブの鉢植えなどが並び、展望台からは周囲の景色をぐるりと360度眺めることができます。初夏に咲く白いオリーブの花、秋に色づくオリーブの実、そして年に一度、大勢のお客様でにぎわう収穫祭と、四季折々の表情を楽しんでいただけます。

オリーブの木
Wordpress Social Share Plugin powered by Ultimatelysocial