人間とオリーブの3000年を超える歴史とその関係性

2016.11.12

○オリーブの樹

「太陽の樹」と呼ばれるオリーブ樹は、原産は中近東と言われています。学名は Olea Europaea。モクセイ科の常緑樹で高さは3~10メートルになります。現在、オリーブ樹はスペイン・イタリア・ギリシャなどの地中海沿岸地方だけでなく、世界各地で栽培されており、その品種も500種を超えると言われています。生命力が強く、樹齢が長いのが特徴で、スペインなどでは樹齢500年を超える古木が今なおたわわに実をつけている姿を見かけます。

○オリーブの伝搬

オリーブ樹は、有史以前から地中海沿岸やアフリカ北岸に自生し、今日のイスラエル、パレスチナ、ヨルダン、レバノン、シリアの地域で栽培が始まったと考えられています。そして、人類がその活動範囲を広める移動する歴史とともにオリーブの栽培地も広がってきました。BC16世紀にはフェニキア人が海上交易を通じてギリシャの島々にBC6世紀頃からローマ帝国の拡大とともに地中海沿岸や北アフリカの地域に、コロンブスのアメリカ大陸発見後にアメリカ大陸へと広がっていきました。アジアにも交易や民族の移動を通じて、中国、インド、日本などに広がり、現在では南半球を含む世界中で栽培されています。

○日本とオリーブ

日本の歴史に始めてオリーブオイルが登場するのは、約400年前の安土・桃山時代のことです。当時、キリスト教伝道のため日本を訪れたフランシスコ派のポルトガル人神父が持ち込んだものでした。そのため、蘭方医たちが、「ホルト(ポルトガル)の油」と呼んで薬用に使ったとされています。
その後、江戸時代の鎖国政策により、日本におけるオリーブの普及に歯止めがかけられました。江戸時代に書かれた「本朝食鑑」という書物では「外科を学ぶもので、オランダ流を学ぶものは、ポルトガルの油を用いている ( 中略 ) ただ、南蛮船が伝送するものだけを用いているので、価もやすくなく、量も少ない。そのため代用としてごま油が用いられている」( 意訳 ) とあり、オリーブオイルを手に入れるのに苦労した往時が偲ばれます。

幕末から近代にかけ、再度オリーブは日本の歴史に姿を現すようになります。
日本で、最初の本格的な植栽が行われたのは、明治 12 年のことで、フランスから約 2000 本の苗木が導入され、勧農局三田育種場と神戸温帯植物に移植され神戸オリーブ園と呼ばれました。神戸オリーブ園に植えられたオリーブは明治 15 年に実をつけ、日本で初めてオリーブ油が搾られ、塩蔵も製造されたと記録にあります。神戸オリーブ園はその後、管理者が居なくなり廃園になりましたが、当時の面影を残す老木が湊川神社の境内に今も残っています。
その後、明治 41 年から直轄補助として三重、香川、鹿児島の三県で農商務省オリ―ブ試験研究が始まり、そのうち香川県小豆島で植えられたオリーブが順調に生育しました。以後研究が続けられ、農家に普及するとともに小豆島を中心に香川、岡山にも栽培が拡がりました。
そして、昭和 17 年(1942 年)に創業者服部和一郎によりオリーブ樹が植樹され牛窓オリーブ園が開設されました。その後、昭和24年(1949年)6月1日に「オリーブマノンバージンオイル<現在の化粧用オリーブオイル>」が発売され、同時に日本オリーブ株式会社が設立されたのが当社の始まりです。