暮らしの中にオリーブを。

2019年10月_カタドール編

2019.10.01

個性豊かなエキストラバージンオリーブオイル。
風味の良し悪しを適切に判断したり、目標とする風味にするために、どのように栽培・収穫などをするか、どのエキストラ同士をどうブレンドするかなど、鑑定士(スペイン語で「カタドール」と言います。)の技が必要です。
オリーブオイル作りの魂が込められた「カタ(=テイスティング)」について紹介します。

なぜカタ(テイスティング)が必要?


エキストラバージンオリーブオイルは天然の恵みそのものを瓶詰めしています。
品質の重要な要素として「風味」があり、グレード分けするために油っぽいなどの欠点がないか、フルーティさや苦み・辛みの強さはどの程度あるかなどが物差しとして定められている世界でも珍しい食品です。「これはエキストラバージンと言っていいかどうか?」をこのガラスのグラスを使って世界中のオリーブ生産現場で鑑定されているのです。

カタドールって?


特に収穫期に、カタドール達は搾油所に集まってきます。
官能的なものを客観的にそして科学的成分分析に限りなく近い正確な鑑定をするため複数の官能鑑定結果を集計することが重要なのです。
カタドールになるには優れた嗅覚・味覚を持ち合わせていることも大事ですが、鑑定の仕事が好きで、興味があること、オリーブオイルの品種、栽培方法、収穫から搾油、製品化までの全工程を熟知していることも求められます。

カタの禁止事項


・カタをする最低1 時間前から一切の食事は禁じられます。
・30 分前からは喫煙は禁じられます。
・カタをするとき(日)は化粧・香水・石鹸の使用は禁じられます。
・カタをする日、体調不良、精神不安定要素がある場合、リーダーに必ず報告をします。

カタの方法(※嗅覚、味覚の感受性がもっとも高くなる午前中にします。)


・オリーブオイルの色による先入観を防ぐため、色が見えにくい濃い色に着色されたグラスを使用します。オイルの温度は28 度±2 度、グラスに15ml を入れます。
・グラスを手に取り、蓋を閉めたままグラスを少し傾かせ、中のオイルがグラスの側面を濡らすようにゆっくりグラスを回します。これは空気に触れる面積をできるだけ多くして香りがよく立つようにするためです。
・蓋を外し、鼻を近づけ、ゆったりと深く息を吸います。(最初に感知したにおいが重要。)ゆったりと深く息を吸いながら、好ましい特性、または欠点を感知するため全意識を集中させます。そしてオイルの香りの特性をテイスティングシートに記されている表現でどのように表すかをイメージしていく。時間は最長で30 秒とします。
・嗅覚鑑定が終わると、3ml ほどのオイルを口に含み、味覚鑑定に入る。まずは口の中でオイルを回しながら口全体で味わう。
一気に飲み込むとかなり辛いので、ゆっくりと流す感じでテイスティングします。
・一つのオイルの鑑定後、次の鑑定に入るまではリンゴのスライスなどで口直し、常温の水で口すすぎをし、必ず休憩を取り、心身リフレッシュさせます。
・パネルリーダーが各カタドールの評価表を集め、そのテイスティングシートにマークされた評価項目と結果を検証します。

参考資料「オリーブオイルの官能特性と官能評価」アヌンシアシオン・カルピオ、ブリヒダ・ヒメネス共

このように厳格なルールを持つカタによって、香りや味(フルーティさ・苦み・辛み)のバランスが重視されるエキストラバージンオリーブオイルの品質・味は保たれているのです。

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オリーブの木
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