SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)という言葉をよく聞くようになりました。
この「サステナブル(Sustainable:持続可能な)」という考えは私たちの子供や孫の世代も美しい地球で平和に豊かに生活をし続けていける社会への考え方で、昨今、大変重要視されてきており全世界を挙げて取り組む必要性が叫ばれています。
私たち、日本オリーブもオリーブの価値を追求しお客様の役に立てていく事業を行う上で、この「サステナブル」の考えを実践しています。
それは、創業の頃からの想い、時代の流れで対応してきたもの、近年の取り組み、多岐にわたりますが、その一部をご紹介いたします。
-目次-
1.世の先を見据えていた創業の精神
2.地域と共に生きる牛窓オリーブ園
3.商品づくりへの想い
~健康な生活にオリーブを役立てたい~
~オリーブの本来の価値を求めた商品づくりの結果…~
~廃棄のない商品生産へ~
4.最後に
日本オリーブ株式会社(以下、日本オリーブ)の原点は牛窓オリーブ園です。
太平洋戦時中の1942年、牛窓オリーブ園は開園しました。
当時、瀬戸内海を見渡せる美しい山々をもつ岡山県牛窓にも、軍部から山を切り開いて芋畑にするようにと、地主である創業者 服部和一郎に要請が下りました。しかし、服部和一郎は「山をすべて芋畑にしては、国土から緑が失われてしまい、将来のためにならない」と考えました。
そこで、そのころはまだ日本ではほとんど知られていなかったオリーブの存在と海外での歴史あるその価値を知り、「オリーブは、栄養もよく、薬用にもなり、美容にもよく、灯火となる。国にそして地域の役に立つに違いない」と、オリーブの恩恵を暮らしに役立てたいという想いを胸に、オリーブの植栽を始めました。
その後、敗戦により服部和一郎はオリーブの木を除いたほぼすべての財産を失いましたが、この想いを失うことなく事業を興し、これが今の日本オリーブにつながっています。
後世の人、地域、国を想う信念、今でいう「サステナブル」な想いが私たち日本オリーブの創業の精神なのです。
地域との共生、そして環境への配慮も、サステナブルを考える上でとても大切なテーマです。
戦時中に開園した牛窓オリーブ園は、今では毎年たくさんのオリーブの収穫を行うようになりました。年間約9万人(※2018年予測値)の来園のある岡山県南部の観光農園であり、日本最大級のオリーブ農園です。
牛窓オリーブ園では地域の交流の場になればと、2010年10月に入園料を無料にし、2011年5月に山頂の芝生広場を完成させており、気軽に訪れることができる場所を作りました。現在はその広場からの景観を楽しみに立ち寄る地域の人や観光客もふえ、また、園内で行う自然を利用したイベントには遠方からの来客もあり、地域の活性化を目指した観光地経営に取り組んでいます。
その牛窓オリーブ園では現在も除草剤を使わない農法を行っています。
そもそもオリーブを日本の環境で育てる場合、病気や害虫被害が多く、特に面積の広い農園では、人の手による除去では間に合わず、多くの農薬を必要とします。
しかしながら、牛窓オリーブ園では虫や病気による被害への防除も木の様子を見ながら剪定や手での虫の除去と併用しながら行っています。
また、草が繁茂すると、病気や虫も多く発生してしまいますが、除草に関しては農園スタッフの草刈りだけでなく、全社員で取り組んでいます。牛窓オリーブ園は10haの広大な敷地に、約2000本のオリーブの木を栽培しているため、草の勢いが激しい夏には畑の中の遊歩道が草に覆われる日もあります。しかし、全社員が一斉に農園内の草を取る日を年に数回設け、協力して草取りしています。
その結果、観光農園でありながら牛窓オリーブ園では除草剤を使用せずに運営することができています。
それは多様な生物の暮らすオリーブ園の環境保護のためであり、全社員が自らの手でより良いオリーブを作っているという自信のためでもあります。
私たちとお客様をつなぐ商品にもサステナブルにつながる思想が込められています。
オリーブ園開園から7年後の1949年に日本オリーブが設立されオリーブオイル100%の美容オイル(現在の化粧用オリーブオイル)を発売しました。
商品づくりに関しても、当時は添加物や不純物が多く肌に安全とは言い切れない化粧品が多く出回る中、純粋なオリーブオイルだけを使用したシンプルで誰もがいつまでも使い続けられるアイテムが私たちの第一号商品なのです。
この商品は今でも多くのお客様が愛用されており、時代を越えて創業者の商品に対する思想に共感いただいているのだと感じています。
また、オリーブの栽培の歴史は6,000年以上前からと言われており、現在の農作物の中でも最も古い栽培の歴史を有する作物のひとつです。オリーブオイルは、それだけ長い間、人々の生活に寄り添い、健康維持に役立ってきました。
日本オリーブは社内に鑑定士チームと研究室を持ち、オリーブオイルの味と品質に合格したものだけを商品化し、食用のオリーブオイルに関しても健康的に使い続けられる美味しいオリーブオイルが広まるように商品づくりを行っています。
日本では秋から冬にかけオリーブの収穫シーズンを迎えます。
収穫されたオリーブの果実からオリーブオイルは搾られますが、このとき、「果汁」や「搾りかす」が残ります。この「果汁」や「搾りかす」といったオイル以外の部位は「捨てるもの」と一般的には思われています。なぜなら、オリーブ果実はそのままでは鳥も食べに来ないほどの渋みがあり、特に果汁は食品に加工もできないからです。
同じように、常緑のため1年中茂り豊富な「オリーブの葉」も切った後は棄てられるのが一般的です。
しかし、実はこれらの捨てる部分にこそ、オリーブ本来の価値が秘められていることが、私たちの研究からわかってきたのです。
ある時、搾油作業中のスタッフの中に「果汁に触れているとお肌がきゅっと引き締まった感じがする」と気づく者が現れました。
そこで化粧品に有用なのではないかと、果汁のお肌に対する研究が始まりました。
そこから生まれたのが、オリーブ果汁配合の化粧水です。
1973年に「グリーンオリーブM(販売終了)」、1994年に「オリーブマノン グリーンローション(果汁水)」を発売し、2000年には化粧品成分の国際共通表示名称に「オリーブ果汁」を登録しました。
そして、使い道のないと思われていたオリーブの葉も、1994年に研究を開始しました。
その結果、オリーブの葉には、お肌の引き締めにうれしいポリフェノールが多く含まれていることがわかり、化粧品への採用を試み始めました。
そしてついに2002年にオリーブ葉エキスを実用化し、「オリーブマノン 薬用ホワイトニングシリーズ」を発売、2017年にはオリーブ葉エキスをメインの保湿成分として配合した「オリーブマノン オリーブリーフローション(銀葉水)」を発売しました。
さらに、2021年には岡山大学との共同研究で完成したオリーブ葉に発酵の技術を取り入れることで作り出した新成分を使った「オリーブマノン エスペランサ エマルシオン」を商品化しました。
オリーブの搾りかすも、無駄にすることの無いよう肥料となるように自社で堆肥づくりをして活用するとともに、様々な可能性の追求、研究を進めています。
このように、使い道のないと思われていたオリーブのオイル以外の部分の有用性を再発見・開発し、より良いスキンケアアイテムや自社の肥料として世の中の役に立てていくことができています。これも結果として、廃棄部分をなくして活用していくサステナブルな一例となったのです。
捨てるところの無いように原料を考案し完成した商品も過剰に作ってしまえば、商品の廃棄・ロスになってしまいます。
日本オリーブはオリーブの栽培から化粧品・食品の製造、販売まで行っています。
自社で商品を販売し、自社で製造しているメリットを生かし、商品の売れ行きを見ながら商品を生産することができます。
全社で商品を管理し、商品が過剰となることを防いでいるのです。
日本オリーブは、創業時の思いである後世の人、地域、国を想う信念を受け継ぎ、環境を守り、自らが育てているオリーブ資源を無駄にせず、その能力を最大限に生かせるよう商品開発・観光事業を行っています。
この想い・行動はSDGsが今のように声高にうたわれる前から始まっており、時代の流れでもある「サステナブル」にかなってきているのです。
後世に今よりも良い状態をつないでいくことは、現役世代の責務だと私たちは考えています。
日本オリーブは創業の精神を忘れず、これからも地域に根差し、後世のことに思いを馳せながらお客様にオリーブの価値を届けるべく活動を続けてまいります。
瀬戸内の美しい島々を見渡す丘にある「牛窓オリーブ園」がわたしたちの活動拠点です。約2,000本のオリーブが茂る園内にはハーブ園や幸福の鐘の丘などがあり、家族でくつろげる観光スポットとしても知られています。山頂にあるショップには当店で販売されている化粧品、食品、オリーブの鉢植えなどが並び、展望台からは周囲の景色をぐるりと360度眺めることができます。初夏に咲く白いオリーブの花、秋に色づくオリーブの実、そして年に一度、大勢のお客様でにぎわう収穫祭と、四季折々の表情を楽しんでいただけます。
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